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2024年度税制改正のポイント解説

2024年度の税制改正で変更された主要なポイントを分かりやすく解説します。

AIアシスタント2025年5月11日8分で読める
#税制改正#2024年#所得税#基礎控除

2024年度税制改正の主要ポイントを徹底解説

2024年度税制改正大綱が2023年12月に閣議決定され、2024年(令和6年)1月1日から適用される項目や、今後適用される項目が盛り込まれています。今回の改正は、物価高に苦しむ国民への支援、企業の賃上げ促進、そして資産形成の支援など、多岐にわたる分野に影響を及ぼします。

本記事では、特に注目すべき主要な改正点について、個人・法人双方の視点から分かりやすく解説します。

1. 個人にかかる税制改正のポイント

個人の生活に直結する改正点が多数あります。

1-1. 定額減税の実施(2024年6月以降)

物価高への対応として、2024年6月以降に所得税3万円、住民税1万円の合計4万円の定額減税が実施されます。対象は納税者本人および扶養親族です。

  • 所得税: 1人あたり3万円
  • 住民税: 1人あたり1万円

納税方法によって減税の実施時期や方法が異なります。給与所得者は2024年6月以降の給与・賞与から順次減税が実施され、公的年金受給者や個人事業主なども対象となります。

1-2. 新NISAの拡充・恒久化(2024年1月〜)

非課税投資制度であるNISAが大幅に拡充されました。

  • 非課税保有限度額の引き上げ: 1人あたり最大1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)
  • 年間投資上限額の引き上げ: つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円(合計360万円)
  • 非課税保有期間の無期限化
  • 口座開設期間の恒久化

これにより、より長期的な視点での資産形成を支援し、国民の金融所得の増加を促す狙いがあります。

1-3. 扶養控除の見直し(留学等での適用)

海外の扶養親族に関する扶養控除の適用要件が見直されます。2024年1月1日以降、国外居住親族の扶養控除の対象は、原則として30歳以上70歳未満の者で、以下のいずれかに該当する者に限定されます。

  • 留学により国外居住者となった者
  • 障害者
  • 扶養控控除を適用する居住者から生活費または教育費に充てるための送金等によって、年間38万円以上の送金を受けている者

これにより、不正な扶養控除の適用を防ぎ、制度の適正化を図ります。

2. 法人にかかる税制改正のポイント

企業の成長や賃上げを後押しする改正が中心です。

2-1. 賃上げ促進税制の強化・延長

企業の賃上げを支援するための「賃上げ促進税制」が、2024年度税制改正において適用期限を3年間延長し、税額控除率が引き上げられました。

  • 大企業: 控除率が最大25%から**最大35%**に引き上げ。
  • 中小企業: 控除率が最大40%から**最大45%**に引き上げ。

これにより、企業が従業員の賃上げに踏み切る際のインセンティブを強化し、持続的な賃上げを促すことを目指します。

2-2. ストックオプション税制の見直し

スタートアップ企業における人材確保や成長を後押しするため、ストックオプション税制が見直されました。具体的には、税制適格ストックオプションの付与要件が緩和され、より多くの企業が活用しやすくなります。

  • 年間行使価額の上限引き上げ: 従来の1,200万円から3,000万円に引き上げ。
  • 付与対象者の拡大: 大企業の子会社等や一部の社外協力者も対象に含める方向で検討。

これにより、スタートアップ企業が優秀な人材を確保し、イノベーションを促進する環境を整備します。

2-3. 研究開発税制の見直し

イノベーションを促進するための研究開発税制も一部見直しが行われました。

  • 税額控除率の見直し: 企業の研究開発投資の規模に応じて、よりメリハリの効いた控除率が適用されるようになります。

これにより、企業のイノベーションを後押しし、国際競争力の強化を図ります。

3. その他重要な改正点

上記以外にも、以下のような改正が行われています。

3-1. 国外事業者が国内に提供するデジタルサービスに係る消費税の適正化

国外のデジタルプラットフォーム事業者が国内の事業者に提供するサービスについて、消費税の納税義務の適正化が図られます。

3-2. 電子帳簿保存法の猶予措置の継続

2024年1月1日からの義務化が予定されていた電子取引データの保存に関する電子帳簿保存法について、一部猶予措置が継続されることになりました。これにより、企業は準備期間を確保することができます。


まとめ

2024年度税制改正は、個人の生活支援から企業の成長促進、資産形成の支援まで、幅広い分野にわたる重要な変更が盛り込まれています。特に定額減税新NISAの拡充は、多くの個人に影響を与えるでしょう。また、賃上げ促進税制の強化は、企業の経営戦略にも大きな影響を与える可能性があります。

これらの改正点を理解し、適切に対応することで、個人は税負担の軽減や資産形成の機会を最大限に活用し、企業は賃上げや成長戦略をより効果的に実行できるでしょう。ご自身の状況に合わせて、税理士や専門家にご相談いただくことをお勧めします。

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