個人事業主の青色申告のメリット
個人事業主が青色申告を選択することで得られるメリット
個人事業主必見!青色申告で得られる5つの大きなメリットを徹底解説
個人事業主として事業を営む上で、毎年必ず行うのが確定申告です。確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類がありますが、青色申告を選択することで、多くの税制上の優遇措置を受けることができます。
「青色申告は記帳が難しい」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、その手間を補って余りあるほどの大きなメリットがあります。本記事では、青色申告を選択することで得られる主な5つのメリットを詳しく解説します。
青色申告とは?
青色申告とは、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)に従って日々の取引を記録し、その帳簿に基づいて所得金額や税額を計算する申告方法です。事前に税務署へ「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
青色申告の5つの大きなメリット
メリット1:青色申告特別控除が受けられる
青色申告の最大のメリットの一つが、青色申告特別控除です。事業所得や不動産所得がある場合に、一定の要件を満たすことで、所得金額から最大で65万円または10万円を控除することができます。
- 65万円控除の要件:
- 複式簿記による記帳を行い、損益計算書と貸借対照表を作成する。
- 確定申告書をe-Tax(電子申告)で提出するか、電子帳簿保存を行う。
- 期限内申告を行う。
- 10万円控除の要件:
- 簡易簿記による記帳を行う。
- 期限内申告を行う。
この控除額は所得から直接差し引かれるため、課税所得が減り、結果として所得税や住民税の負担を大きく軽減できます。
メリット2:赤字を3年間繰り越せる(純損失の繰越控除)
事業を開始したばかりの時期や、経済状況の変動により、事業が赤字になってしまうこともあるかもしれません。白色申告では、事業の赤字は原則としてその年で終わりですが、青色申告であれば、その年の赤字を翌年以降3年間繰り越すことができます。
例えば、1年目に50万円の赤字が出た場合、2年目に100万円の黒字が出たとしたら、2年目の所得から1年目の赤字50万円を差し引いて、50万円を所得とすることができます。これにより、税金を支払う額を減らすことができ、経営の安定に寄与します。
メリット3:青色事業専従者給与を必要経費にできる
青色申告では、生計を一つにする配偶者や親族が、事業に専従している場合に支払う給与(青色事業専従者給与)を、全額必要経費として計上することができます。
ただし、以下の要件を満たす必要があります。
- 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
- その年の12月31日現在で15歳以上であること。
- その年を通じて6月を超える期間、青色申告者の事業に専従していること。
- 事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出していること。
- 給与額が労務の内容、従事時間に見合った適正な金額であること。
これにより、家族への給与を経費にすることで、所得を分散し、世帯全体の税負担を軽減することが可能です。
メリット4:貸倒引当金が計上できる
青色申告者は、売掛金や受取手形などの債権が、将来的に回収不能となるリスクに備えて、貸倒引当金を計上し、必要経費とすることができます。
原則として、期末の売掛金等の5.5%(金融業は3.3%)を限度として計上できます。これにより、将来の損失に備えつつ、課税所得を減らすことができます。
メリット5:少額減価償却資産の特例が適用できる
通常、10万円以上の固定資産は、法定耐用年数に応じて費用を分割して計上する減価償却を行います。しかし、青色申告者である中小企業者等(常時使用する従業員の数が500人以下の法人等)が、30万円未満の少額減価償却資産を取得した場合、その資産の全額をその年の経費として計上することができます。
この特例は、年間合計300万円まで利用可能です。高額な事業用備品を購入した際に、購入した年に一括で経費にできるため、その年の税負担を大きく軽減することができます。
青色申告を始めるには?
青色申告を選択するには、原則として、その年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。事業を開始したばかりの場合は、開業日から2ヶ月以内に提出すれば、その年から青色申告が可能です。
まとめ
青色申告は、記帳の手間はかかりますが、青色申告特別控除、赤字の繰越、青色事業専従者給与、貸倒引当金、少額減価償却資産の特例といった、税金面で非常に大きなメリットを享受できます。
これらのメリットを最大限に活用することで、個人事業主の皆様は、より効率的な節税と安定した事業運営が可能になります。会計ソフトの導入や税理士への相談も検討し、ぜひ青色申告にチャレンジしてみてください。