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フリーランスの経費計上のポイント

フリーランスが経費として計上できる項目と、適切な記録方法について解説します。

AIアシスタント2025年3月26日9分で読める
#フリーランス#経費#確定申告#節税

フリーランス必見!経費計上のポイントを徹底解説【節税の基本】

フリーランスとして活動する上で、事業の売上を増やすことと同じくらい大切なのが「経費計上」です。適切に経費を計上することは、課税所得を減らし、結果として所得税や住民税、そして国民健康保険料などの負担を軽減する、賢い節税対策の基本中の基本となります。

しかし、「これは経費になるの?」「どうやって記録すればいいの?」といった疑問を抱えているフリーランスの方も少なくないでしょう。本記事では、フリーランスが知っておくべき経費計上の基本的な考え方から、主な経費の種類、そして注意点までを分かりやすく解説します。


1. そもそも「経費」とは?

税法上の「経費」とは、「売上(収入)を得るためにかかった費用」のことです。つまり、事業と関連性のない個人的な支出は経費として認められません。

この「事業関連性」が経費計上を判断する上での最も重要なポイントとなります。


2. 経費計上の基本原則と重要性

  • 事業関連性: 前述の通り、事業に直接的・間接的に関係する支出のみが経費となります。
  • 客観性: 領収書やレシート、請求書など、客観的な証拠が必要です。
  • 必要性: その支出が事業を行う上で必要不可欠であったか、合理的な説明ができるか。
  • 期間対応: その年の収入を得るためにかかった費用はその年の経費とする(発生主義)。

経費を適切に計上することで、**課税所得(収入 − 経費 − 所得控除)**を減らすことができ、所得税や住民税の税額を抑えることができます。また、国民健康保険料や国民年金保険料(前年の所得に応じて決定されるため)の負担軽減にも繋がります。


3. フリーランスの主な経費の種類

フリーランスが日常的に計上できる可能性のある経費は多岐にわたります。主なものを具体例とともに見ていきましょう。

3-1. 自宅兼事務所の場合の家事按分

自宅の一部を仕事場として利用している場合、家賃、光熱費、通信費などを経費にすることができます。ただし、事業で使用している部分とプライベートで使用している部分を明確に区別し、**合理的な基準で按分(あんぶん)**する必要があります。

  • 地代家賃: 賃貸物件の場合の家賃、持ち家の場合の固定資産税、ローンの金利など。
    • 例:仕事部屋の面積が全体の20%であれば、家賃の20%を経費に。
  • 水道光熱費: 電気代、ガス代、水道代。
    • 例:電気代は使用時間や使用機器で按分。
  • 通信費: インターネット料金、携帯電話料金。
    • 例:事業での使用割合に応じて按分。

3-2. 一般的な事業経費

  • 消耗品費: 文房具、プリンターのインク、USBメモリ、ソフトウェア(取得価額10万円未満のもの)、作業用手袋など。
  • 旅費交通費: 仕事のための電車賃、バス代、タクシー代、出張時の宿泊費など。
  • 接待交際費: 事業関係者との飲食代、贈答品代など。ただし、一定の制限があります。
  • 新聞図書費: 業務に必要な書籍、雑誌、新聞、電子書籍の購入費など。
  • 通信費: 事業用の固定電話代、FAX代、切手代、宅配便代など。
  • 広告宣伝費: Webサイト制作費、チラシ作成費、名刺作成費、SNS広告費など。
  • 消耗工具器具備品費: 取得価額10万円未満のパソコン、カメラ、プリンターなど。
  • 修繕費: 事業用PCの修理代、事務所の修繕費など。
  • 荷造運賃: 商品発送のための梱包資材費、送料など。
  • 支払手数料: 銀行の振込手数料、クラウドソーシングサイトの手数料、決済手数料など。
  • 外注工賃: 業務の一部を外部のフリーランスや業者に依頼した場合の費用。
  • 会議費: 会議室のレンタル料、会議中の飲食代など。
  • 研修費: 業務に必要なスキルアップのためのセミナー参加費、スクールの受講料など。
  • 租税公課: 個人事業税、消費税(課税事業者の場合)、印紙税、自動車税(事業用車両の場合)など。所得税や住民税は経費になりません。
  • 保険料: 事業用の火災保険、賠償責任保険など。国民健康保険料や国民年金保険料は社会保険料控除の対象となり、経費にはなりません。
  • 福利厚生費: 従業員を雇用している場合の従業員向けの福利厚生費用。
  • 車両費: 事業用車両のガソリン代、車検代、駐車場代、ETC代など。

4. 経費計上における注意点

4-1. プライベートとの区別(家事費との混同)

最も間違いやすいのが、事業とプライベートの両方で使う支出の扱いです。前述の「家事按分」を適切に行い、個人的な支出が経費に含まれないように注意しましょう。

4-2. 領収書・レシートの保管

経費を証明する最も重要な書類が領収書やレシートです。 7年間(白色申告は5年間)の保管義務があります。

  • 日付、金額、宛名(屋号や氏名)、但し書き(品目)が明確か確認しましょう。
  • 電子帳簿保存法に対応し、電子データで保存することも可能です(要件あり)。
  • 電車賃など領収書がない場合は、出金伝票に日付、区間、金額、目的を詳しく記録しましょう。

4-3. 勘定科目の選択

会計ソフトなどを利用すると自動で仕訳を提案してくれますが、正しい勘定科目を選ぶことも重要です。迷った場合は、税理士に相談するか、国税庁のウェブサイトなどで確認しましょう。

4-4. 10万円以上の資産の扱い(減価償却)

パソコンや高額なカメラなど、取得価額が10万円以上の資産は、購入した年に全額を経費にすることはできません。これらの資産は「減価償却」として、耐用年数に応じて数年かけて経費に計上していきます。

ただし、青色申告をしているフリーランスの場合、「少額減価償却資産の特例」を利用することで、取得価額30万円未満の資産であれば、年間300万円までをその年の経費として一括計上できます(適用期限あり)。これは大きな節税メリットとなるため、ぜひ活用を検討しましょう。

4-5. 帳簿付けの重要性

経費を正確に計上するためには、日々の取引をきちんと帳簿に記録することが不可欠です。会計ソフトを活用すれば、初心者でも比較的簡単に帳簿付けができます。

  • 白色申告: 簡易帳簿でも可能ですが、収入金額や経費を記帳する必要があります。
  • 青色申告: 複式簿記での記帳が原則ですが、青色申告特別控除65万円を受けるためには必須となります。

まとめ

フリーランスにとって、経費計上は単なる義務ではなく、節税のチャンスです。事業と関連する支出は漏れなく、かつ適切に計上することで、税負担を軽減し、手元に残るお金を増やすことができます。

「これは経費になるのかな?」と迷ったら、まずは「事業関連性があるか」「客観的な証拠があるか」を基準に判断し、証拠書類(領収書など)を大切に保管しましょう。

日々の記帳を習慣化し、会計ソフトの活用や必要に応じて税理士に相談するなど、積極的に経費計上に取り組んで、健全なフリーランス経営を目指しましょう。

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