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個人事業主から法人化へ!知っておくべき切り替えの5つのポイント

事業の成長とともに、個人事業主から法人への切り替えを検討するタイミングが来るかもしれません。法人化には税制面や社会的な信用度向上など多くのメリットがありますが、同時に手続きやコストも発生します。本記事では、個人事業主が法人化を検討する際に知っておくべき5つの主要なポイントを分かりやすく解説します。

AIアシスタント2025年6月19日9分で読める
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個人事業主から法人化へ!知っておくべき切り替えの5つのポイント

事業が成長し、売上や利益が増えてきた個人事業主の皆さんの中には、「そろそろ法人化した方がいいのかな?」と考えている方もいるでしょう。法人化(法人成り)は、税金や社会的な信用度など、多くの面でメリットがある一方で、手続きや運営上の手間も増えます。

本記事では、個人事業主が法人化を検討する際に、特に押さえておくべき5つの主要なポイントを分かりやすく解説します。


1. なぜ法人化するのか?メリット・デメリットの把握

法人化を検討する上で最も重要なのは、そのメリットとデメリットをしっかりと理解し、自分の事業にとって本当に必要なのかを見極めることです。

法人化の主なメリット

  • 節税効果:
    • 所得税の最高税率(45%)よりも法人税の最高税率(約23.2%)の方が低いため、所得が増えるほど税負担を軽減できる可能性が高まります。
    • 給与所得控除や役員報酬の設定により、個人の所得税負担を軽減できます。
    • 赤字を10年間繰り越せる(個人事業主は3年間)。
    • 出張手当や社宅など、経費にできる範囲が個人事業主よりも広がります。
  • 社会的信用の向上:
    • 株式会社などの法人格を持つことで、銀行からの融資や取引先との契約において、個人事業主よりも信用を得やすくなります。
    • 人材採用の面でも有利になることがあります。
  • 有限責任:
    • 会社の借入などに対し、原則として出資した金額の範囲内でのみ責任を負います(個人保証がある場合は除く)。個人事業主は無限責任です。
  • 事業承継のしやすさ:
    • 株式の譲渡によって、比較的スムーズに事業を第三者に引き継げます。

法人化の主なデメリット

  • 設立・維持コスト:
    • 法人設立には登記費用(株式会社で約20万円〜25万円程度)がかかります。
    • 毎年、赤字でも均等割(法人住民税)の支払いが必要です。
    • 税理士への依頼費用や社会保険料の負担が増える可能性があります。
  • 事務処理の増加:
    • 会計処理が複式簿記になり、より複雑になります。
    • 決算や税務申告の頻度や手続きが増えます。
  • 社会保険の強制加入:
    • 原則として、役員を含め社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が義務付けられます。保険料の会社負担分が発生します。

2. 法人化の最適なタイミングを見極める

法人化の最適なタイミングは、事業の状況によって異なりますが、一般的には以下の点が目安となります。

  • 所得が所得税率と法人税率の逆転ラインを超える時:
    • 所得税の税率は累進課税で最大45%ですが、法人税の実効税率は中小企業で20%〜25%程度です。個人の課税所得がおおよそ年間800万円〜900万円を超えるあたりから、法人化した方が税金面で有利になるケースが多いです。
  • 消費税の免税期間を有効活用したい時:
    • 法人設立後、原則として最初の2年間は消費税の納税義務が免除されます(消費税の課税売上高が1,000万円未満の場合)。個人事業主としての免税期間と合わせて最長4年間、消費税の免除期間を確保できる可能性があります。
  • 事業規模の拡大や信用力強化が必要な時:
    • 金融機関からの融資を受けたい、大規模な取引先と契約したいなど、事業拡大のために法人としての信用力が必要な場合。

3. 会社設立の具体的な手続き

法人化を決めたら、具体的な会社設立手続きを進める必要があります。

  • 会社形態の選択:
    • 一般的には「株式会社」か「合同会社」のいずれかを選択します。
    • 株式会社: 株式を発行し、資金調達の幅が広い。社会的信用度が高い。設立費用がやや高い。
    • 合同会社: 設立費用が安い(株式会社の約半分)。経営の自由度が高い。株式会社に比べると知名度・信用度が劣る場合がある。
  • 定款の作成:
    • 会社の目的、商号(会社名)、本店所在地、資本金、役員構成などを定めた会社の基本ルールを定款として作成します。
  • 出資金の払い込み:
    • 会社の資本金となる出資金を払い込みます。
  • 登記申請:
    • 管轄の法務局に登記申請を行います。これをもって会社が成立します。
  • その他:
    • 設立後の税務署への届出(法人設立届出書など)、社会保険関係の届出など、多数の提出書類があります。

これらの手続きは複雑なため、司法書士や行政書士、税理士などの専門家に依頼するのが一般的です。


4. 設立後の税務・会計・社会保険の変更点

法人化すると、個人事業主とは大きく異なる税務・会計・社会保険の仕組みが適用されます。

  • 税金の種類:
    • 所得税の代わりに法人税、法人住民税、法人事業税が課税されます。
    • 会社の利益に対する税金だけでなく、役員報酬や従業員給与に対する源泉所得税、消費税なども適切に処理が必要です。
  • 会計処理:
    • 簡易な帳簿付けで済んだ白色申告とは異なり、複式簿記による厳密な会計処理が求められます。
    • 決算書(損益計算書、貸借対照表など)の作成も必要になります。
  • 社会保険:
    • 代表者(役員)を含め、原則として健康保険と厚生年金保険への加入が義務となります。国民健康保険・国民年金からの切り替えが必要です。
    • これにより、保険料の半分を会社が負担することになるため、人件費が増加します。
    • 労働者を雇用する場合は、雇用保険や労働者災害補償保険(労災保険)への加入も必要です。

これらの変更点に対応するためには、専門知識が必要となるため、多くの法人が税理士と顧問契約を結んでいます。


5. 個人事業の廃業手続きと法人の事業開始手続き

法人化は、単に会社を作るだけでなく、個人事業を「廃業」し、新しく法人として事業を「開始」するプロセスでもあります。

  • 個人事業の廃業手続き:
    • 管轄の税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。
    • 消費税の課税事業者であった場合は「事業廃止届出書」なども提出します。
    • 青色申告を利用していた場合は「所得税の青色申告の取りやめ届出書」も必要です。
    • 個人事業最後の確定申告(廃業年の所得に対する確定申告)を行います。
  • 法人の事業開始手続き:
    • 前述の設立手続きと同時に、法人としての税務署や都道府県税事務所、市町村役場への各種届出が必要です。
    • 場合によっては、許認可の再取得が必要となるケースもあります。

まとめ

個人事業主から法人への切り替えは、事業のステージアップを意味し、多くのメリットを享受できる可能性があります。特に、売上や利益が増えてきた段階では、税制面での恩恵が大きくなる傾向にあります。

しかし、設立費用、ランニングコストの増加、事務処理の複雑化、社会保険料負担など、デメリットも存在します。これらのメリットとデメリットを総合的に判断し、ご自身の事業にとって最適なタイミングで法人化を進めることが重要です。

一人で全てを判断・手続きするのは非常に負担が大きいため、税理士や司法書士といった専門家に相談し、適切なアドバイスを受けながら進めることを強くお勧めします。

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