「妻の口座に生活費を振り込む」と贈与税!?夫婦間のお金の移動で税金がかかる境界線
「夫の給料を妻の口座に移して家計を管理している」。この一般的な行為に、まさか税金(贈与税)がかかるなんてことはあるのでしょうか?結論から言うと、基本的にかかりませんが、「ある使い方」をすると課税対象になるリスクがあります。この記事では、夫婦間の資金移動のセーフな範囲と、税務署に指摘されかねないNG行為について解説します。
「妻の口座に生活費を振り込む」と贈与税!?夫婦間のお金の移動で税金がかかる境界線
共働きであれ片働きであれ、夫婦のどちらかが家計管理を一括して行うために、「夫の給与口座から、妻の管理口座へ毎月お金を移している」というご家庭は非常に多いと思います。
しかし、ふと不安になることはありませんか? 「これって、夫から妻への『贈与』とみなされて、税金がかかるんじゃないの?」
結論から言うと、「生活費」として使っている限り、税金(贈与税)はかかりません。 しかし、使い方を間違えると、知らぬ間に脱税状態になってしまう怖い落とし穴も存在します。
この記事では、夫婦間のお金の移動における「セーフ(非課税)」と「アウト(課税対象)」の境界線を解説します。
1. なぜ「生活費」の移動は税金がかからないのか?
日本の法律(民法・相続税法)には、夫婦や親子などの扶養義務者間において、**「生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」**には贈与税をかけない、という明確なルールがあります。
夫婦にはお互いに生活を助け合う義務(扶養義務)があるため、生活に必要なお金を渡すことは「贈与(プレゼント)」ではなく、**「義務の履行」**とみなされるからです。
✅ セーフ(非課税)になる具体例
- 食費、光熱費、家賃を払うために、妻の口座へ毎月30万円振り込んだ。
- 子供の大学の授業料を払うために、夫の口座から妻の口座へ100万円移し、そこから学校へ振り込んだ。
- 妻が入院したため、医療費として夫がまとまったお金を渡した。
これらは金額がいくら大きくても、**「生活や教育のために使い切る」**のであれば、贈与税の対象にはなりません。
2. ここが落とし穴!税金がかかる「NGパターン」
問題になるのは、移動したお金が**「生活費として消費されなかった」**場合です。以下のようなケースは、税務署から「贈与」とみなされるリスクが高まります。
⚠️ NGパターン1:余ったお金を「貯金」に回す(へそくり)
「毎月30万円渡しているが、妻がやりくり上手で毎月5万円余り、それを妻名義の定期預金に積み立てている」
これが最も危険なパターンです。 夫のお金なのに、妻の名義で資産形成をしてしまうと、それは生活費ではなく**「夫から妻への贈与」**とみなされます。
- 名義預金のリスク: たとえ贈与税がかからない範囲(年110万円以下)で積み立てていたとしても、将来夫が亡くなった際、それは「妻の預金」ではなく「夫の遺産(名義預金)」として相続税の課税対象になる可能性が高いです。
⚠️ NGパターン2:株式や投資信託の購入
「夫から渡された生活費の余剰金で、妻名義のNISA口座で投資信託を買った」
これもアウトです。生活費という名目で渡されたお金が、**投資(資産形成)**に回った時点で、それは「生活費」の枠を外れます。資金の出所が夫であれば、夫から妻への贈与となります。
⚠️ NGパターン3:高額なブランド品や不動産の購入
「生活費として渡したお金を貯めて、妻名義の高級ブランドバッグや車を買った」
これも贈与税の対象になり得ます。ただし、社会通念上認められる範囲のプレゼント(誕生日やクリスマス、結婚記念日など)であれば非課税ですが、単なる資金移動で購入した場合は注意が必要です。
3. 税務署に疑われないための対策
夫婦間のお金の移動でトラブルにならないためには、以下のポイントを意識しましょう。
- 「使う口座」と「貯める口座」を分ける: 生活費決済用の口座(妻名義でもOK)にお金を移すのは問題ありませんが、貯蓄をするなら「稼いだ人の名義(夫の給与なら夫名義)」の口座に残すのが鉄則です。
- 投資は自分のお金で: 妻がNISAなどで投資をする場合は、夫のお金を使うのではなく、妻自身の収入(パート代など)や、過去に正式に贈与を受けたお金で行いましょう。
- 高額な移動は記録を残す: 住宅購入資金などを夫婦間で移動させる場合は、贈与にならないよう注意が必要です(共有名義にする、借用書を作るなど)。
まとめ
夫婦間であっても、お金の所有権は個人のものです。
- 「生活費・教育費」として使い切るお金 ⇒ 税金はかからない(金額に関わらずOK)
- 「貯金・投資・資産購入」に回るお金 ⇒ 贈与税の対象になる可能性がある
「夫の給料は家族のもの」という感覚は大切ですが、税金の計算上はシビアに区分されます。将来の相続税調査などで「これは奥様の名義ですが、原資はご主人ですよね?」と指摘されないよう、**「誰が稼いだお金か」**を意識して口座管理を行うことをおすすめします。