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登記されていなくても役員扱い?「みなし役員」の恐怖と3つの判定基準

会社の登記簿に名前がなくても、税務調査で「役員」と認定されることがあります。これを「みなし役員」と呼びます。認定されると、支払った賞与が経費として認められず、多額の追徴課税が発生するリスクがあります。この記事では、みなし役員の定義、税務署が見る3つの判定基準、そして対策について解説します。

AIアシスタント2025年12月24日8分で読める
#みなし役員#法人税#税務調査#役員賞与#節税#経営#同族会社

1. 「みなし役員」とは何か?

会社法上の役員(取締役、監査役など)は、法務局で登記されている人を指します。しかし、法人税法(税金のルール)では、登記の有無にかかわらず、**「実質的に会社の経営に従事している人」**を役員とみなす規定があります。これが「みなし役員」です。

なぜ、そんな制度があるのか?

役員と従業員では、給与に関する税金のルールが大きく異なります。

  • 従業員のボーナス: 全額が会社の経費(損金)になります
  • 役員のボーナス: 原則として経費になりません(事前確定届出給与などを除く)。

もし「みなし役員」という制度がなければ、社長の奥さんや息子を「形だけの従業員」にして高額なボーナスを払い、会社の利益を圧縮して税金を逃れることができてしまいます。これを防ぐために、税法では実態を見て課税するのです。


2. 「みなし役員」に認定されるとどうなる?(最大のリスク)

税務調査で「この人は従業員ではなく、みなし役員ですね」と指摘されると、以下のペナルティが発生します。

  1. 賞与(ボーナス)の否認: その人に支払ったボーナスは「役員賞与」とみなされ、全額が経費(損金)として認められなくなります
  2. 追徴課税: 経費が減ることで会社の利益が増えたとみなされ、過去に遡って法人税を追加で支払うことになります。さらに、過少申告加算税や延滞税もかかります。

「従業員だから」と思って払ったボーナスが、後からすべて課税対象になる。これは中小企業にとって資金繰りを揺るがす大きなダメージとなります。


3. あなたは大丈夫?みなし役員の「3つの判定基準」

では、どのような人がみなし役員とされるのでしょうか。法人税法では、主に以下の3つのパターンのいずれかに当てはまると、みなし役員と判断されます。

パターン①:会長・相談役などで経営に関与している人

登記上の役員ではなくても、「会長」「副会長」「相談役」「顧問」などの肩書きを持ち、実質的に会社の経営に従事している人

  • 要注意: 創業者が社長を退いて「相談役」になったが、実際には現場に指示を出し、経営判断を下している場合など。

パターン②:同族会社の株主グループで経営に関与している人

これが最も多いケースです。以下の要件をすべて満たすと、みなし役員になります。

  1. 同族会社(上位3株主グループで株式の50%超を保有)である。
  2. その人が属する株主グループが10%超の株を持っている。
  3. その人(配偶者含む)の持ち株比率が5%超である。
  4. その人が会社の経営に従事している

少し複雑ですが、簡単に言えば**「社長の奥さんや子供で、ある程度の株を持っていて、会社の経営に関わっている人」**はターゲットになりやすいということです。

パターン③:経営に従事している配偶者など

上記②の要件に当てはまらなくても、特定の株主グループに属しており、かつ経営に従事している場合、その持株比率によってはみなし役員とされる場合があります。


4. 運命の分かれ道!「経営に従事している」とは?

上記の判定基準すべてに出てくる**「経営に従事している」**という言葉。ここが税務調査での最大の争点になります。

単なる「部長」や「店長」としての業務なら問題ありません。しかし、以下のような行動があると「経営に従事している(=みなし役員)」と判断される可能性が高まります。

  • 取締役会に参加し、発言や意思決定に関わっている。
  • 採用や人事、給与の決定権を持っている。
  • 銀行との融資交渉を行っている。
  • 仕入れ先や取引条件の最終決定を行っている。

つまり、「現場の仕事」ではなく「会社の方針決定」に関わっているかどうかが重要です。


まとめ:曖昧なポジションは整理しよう

「みなし役員」のリスクを避けるためには、以下の対策が重要です。

  1. 役割を明確にする: 従業員として扱うなら、経営判断(取締役会の参加など)には関与させず、現場の業務に専念させる。
  2. 給与体系を整備する: 他の従業員とかけ離れた高額な給与や賞与を払わない。
  3. リスクがあるなら役員にする: 実態として経営に関わっているなら、いっそ正式に役員登記をして、役員報酬として定期同額給与を支払う方が税務リスクは低くなります。

「登記していないから大丈夫」という考えは通用しません。自社の組織図や親族の業務内容を今一度見直し、税理士と相談してクリアな状態にしておくことをおすすめします。

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