利上げで変動金利の住宅ローンはいくら上がる?借入年別に「いまの返済額」と次の見直しを試算【政策金利1.25%】
2026年9月に日銀の政策金利は1.25%になりました。2018年〜2025年に変動金利で3,000万円を借りた人の「いまの返済額」「次に返済額が変わる時期」「見直し後の金額」を借入年別に試算。金利が上がっても返済額が変わらない理由(5年ルール・125%ルール)と、自分の条件で計算する方法も解説します。
利上げで変動金利の住宅ローンはいくら上がる?借入年別に「いまの返済額」と次の見直しを試算
2026年9月18日、日銀は政策金利を1.0%から1.25%へ引き上げました。2024年3月にマイナス金利を解除してから、わずか2年半で合計1.35ポイントの利上げです。
「うちのローンは変動金利だけど、返済額はまだ変わっていない。本当に大丈夫?」「次にいつ、いくら上がるの?」──この記事では、借入年別に「いまの適用金利と返済額」「次に返済額が変わる時期と金額」を試算し、金利が上がっても返済額が変わらない仕組みを解説します。
自分の借入月・借入額・契約金利で正確に計算したい方は、政策金利連動 住宅ローンシミュレーターをお使いください。
結論:借入年別の「いまの返済額」と「次の見直し」
3,000万円を35年・元利均等・変動金利で借りた場合の試算です(各年4月に返済開始、当初の適用金利は借入時期の優遇幅の目安から算出、2026年9月時点、今後の金利は据え置き)。
| 借入年 | 当初金利 → 現在の金利 | 当初の返済額 | 現在の返済額 | 次の見直し | 見直し後の返済額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2018年 | 0.475% → 1.125% | 77,545円 | 77,545円 | 2028年4月 | 88,196円(+10,651円) |
| 2020年 | 0.475% → 1.125% | 77,545円 | 79,294円 | 2030年4月 | 89,586円(+10,292円) |
| 2021年 | 0.475% → 1.125% | 77,545円 | 82,499円 | 2031年4月 | 89,775円(+7,276円) |
| 2022年 | 0.475% → 1.125% | 77,545円 | 77,545円 | 2027年4月 | 89,162円(+11,617円) |
| 2023年 | 0.475% → 1.125% | 77,545円 | 77,545円 | 2028年4月 | 90,016円(+12,471円) |
| 2024年 | 0.275% → 0.925% | 74,929円 | 74,929円 | 2029年4月 | 87,957円(+13,028円) |
| 2025年 | 0.675% → 0.925% | 80,218円 | 80,218円 | 2030年4月 | 87,802円(+7,584円) |
ポイントは3つです。
- 適用金利はすでに0.65ポイント上がっている(2016年以降に借りた人はほぼ全員)。2026年7月分から店頭金利3.125%が適用されています。
- それでも返済額が変わっていない人が多いのは、5年ルールで返済額が据え置かれているからです。据え置きの間は利息の割合が増え、元金の減りが遅くなっています。
- 次の見直しでは月1万円前後上がる見込みです。今後さらに利上げが続けば、上げ幅は大きくなります。
なお2020年・2021年借入の返済額がすでに上がっているのは、2025年4月・2026年4月に5年目の見直しを迎えたためです。返済額の見直し時期は「借入からちょうど5年ごと」なので、借入年によってタイミングが変わります。
なぜ金利が上がっても返済額が変わらないのか
変動金利(元利均等返済)の住宅ローンには、多くの銀行で次の2つのルールがあります。
- 5年ルール:金利が変わっても、月々の返済額は5年間据え置かれます。その代わり返済額のうち利息の割合が増え、元金の減りが遅くなります。
- 125%ルール:5年ごとの見直しで返済額が上がる場合でも、新しい返済額は直前の1.25倍が上限になります。抑えられた分は先送りされ、後の見直しや完済時に上乗せされます。
つまり「返済額が変わっていない」=「負担が増えていない」ではありません。見えないところで元金の減りが遅くなり、総返済額は増えています。金利上昇が急なときは、利息が返済額を上回る「未払い利息」が発生し、元金がまったく減らない期間ができることもあります。
一部のネット銀行など、これらのルールを採用せず金利が変わるたびに返済額を見直す銀行もあります。その場合は2025年1月分・2025年7月分・2026年7月分と、すでに3回返済額が上がっているはずです。
政策金利はどうやって住宅ローンに反映されるのか
変動金利は政策金利に直接連動しているわけではなく、次の順番で反映されます。
- 日銀が政策金利を引き上げる(無担保コールレート翌日物の誘導目標)
- 銀行が短期プライムレート(短プラ)を引き上げる。政策金利の引き上げから数か月遅れるのが通例です
- 変動金利の店頭金利(基準金利)が上がる。多くの銀行は「短プラ+1.0%」
- 毎年4月1日・10月1日の見直しで適用金利が決まり、7月分・翌1月分の返済から反映される
契約時に決まった「優遇幅(引き下げ幅)」は完済まで変わらないため、店頭金利が上がった分がそのまま適用金利の上昇になります。
2024年以降の利上げと短プラの推移
| 政策金利の変更 | 政策金利 | 短プラの変更 | 短プラ | 店頭金利 | 適用開始(返済分) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024年3月19日 | 0〜0.1% | ― | 1.475% | 2.475% | ― |
| 2024年7月31日 | 0.25% | 2024年9月2日 | 1.625% | 2.625% | 2025年1月分〜 |
| 2025年1月24日 | 0.5% | 2025年3月3日 | 1.875% | 2.875% | 2025年7月分〜 |
| 2025年12月19日 | 0.75% | 2026年2月2日 | 2.125% | 3.125% | 2026年7月分〜 |
| 2026年6月16日 | 1.0% | 2026年8月3日 | 2.375% | 3.375% | 2027年1月分〜(見込み) |
| 2026年9月18日 | 1.25% | 未改定 | ― | ― | ― |
2026年9月の利上げ分はまだ短プラに反映されていません。各行が短プラを2.625%に引き上げれば、店頭金利は3.625%となり、2027年4月の見直しを経て2027年7月分の返済から適用される見込みです。
次の見直しでいくら上がるのか
見直し後の返済額は「残っている元金を、残りの期間で、その時点の金利で返す」金額に再計算されます。金利上昇が早い時期に借りた人ほど、また残期間が長い人ほど、上げ幅は大きくなります。
2023年4月に3,000万円を借りた場合、2028年4月の見直しで返済額は77,545円から90,016円へ、月約1万2,000円の増加です。年間では約15万円、残り30年では約450万円の負担増になります(現在の金利が続いた場合)。
125%ルールの上限は77,545円 × 1.25 = 96,931円なので、今回の見直しでは上限にかかりません。ただし政策金利がさらに1ポイント上がると上限に達し、抑えられた分が先送りされます。
今後の金利をどう見込むか
先のことは誰にも分かりませんが、シミュレーターでは次の4つのシナリオで比較できます。
- 据え置き:現在の短プラのまま
- 緩やかに上昇:毎年+0.25%、短プラ3.375%(政策金利2%相当)まで
- 大きく上昇:毎年+0.5%、短プラ5.375%(政策金利4%相当)まで
- 低下:毎年−0.25%、短プラ1.475%(2024年以前の水準)まで
「大きく上昇」で計算すると、2024年借入の人は2032年以降に適用金利が4%を超え、5年ごとの見直しのたびに125%ルールの上限まで返済額が上がり続けます。家計に余裕があるうちに繰上返済を進めるか、固定金利への借り換えを検討する材料になります。
自分の条件で計算する
上の表は「各年4月・3,000万円・35年・優遇幅の目安」という前提の参考値です。実際の返済額は、借入月、借入額、契約時の適用金利、銀行のルールによって変わります。
政策金利連動 住宅ローンシミュレーターでは、借入開始の年月と借入金額を入れるだけで、政策金利・短プラの実績に沿った「いまの返済額」「次に返済額が変わる時期と金額」「これまでと今後の金利の推移」を計算できます。契約書に書かれた当初の適用金利を入力すると、優遇幅が逆算されてより正確になります。
これから借りる方や、金利を自由に設定して比較したい方は、住宅ローンシミュレーターの金利上昇シナリオをお使いください。
まとめ
- 政策金利は2026年9月に1.25%となり、変動金利の適用金利は2016年以降の借入で約0.65ポイント上がっている
- 返済額が変わっていないのは5年ルールのため。元金の減りは遅くなっており、負担が増えていないわけではない
- 次の5年見直しでは、3,000万円借入で月1万円前後の増加が見込まれる
- 2026年9月の利上げ分は2027年7月分以降の返済に反映される見込み
- 借入時期と金額を入れるだけで、自分のローンの「いま」と「次」を確認できる


